ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

早くも入手困難となりつつあるらしい梅田望夫さんの書籍。僕も金曜日に銀座で購入し、週末にじっくりと読ませていただきました。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫


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一言で感想を述べるとすると、「すばらしい。」梅田さんのブログを読んでいる人であれば、過去の記事内容の再編でもあるわけで、新しい発見に満ちあふれているというのではないけれど、ウェブの世界に起こりつつある維新を、今、このタイミングで、改めて頭の中で整理するのはとても大切なことだと思いました。多くのブログでもすでに述べられているように、ネットを「こちら側」と「あちら側」とにあえて分けることで、梅田さんの考えがさらにわかりやすく飲み込めた気がします。
実は、2~3年ほど前になりますが、一度だけ仕事で梅田さんとお会いして、シリコンバレーのレストランで食事をご一緒したことがあります。その時は僕の立ち位置はあくまで脇役で、梅田さん個人とは深い議論ができなかったのは悔やまれるところですが、その際に梅田さんがGoogleとYahoo!の違いを、映画「マトリックス」に喩えていらっしゃったのが印象に残っています。人間の判断を極力廃した理想郷を作ろうとするGoogleと、コンピューターの力も使いつつ、要所要所で人間の判断を重視するYahoo!。映画では人間が勝ったわけですが、果たして、実社会ではどうなるんだろう。「ターミネーター」も、わりと近い世界観ということになるかな。ついでにいえば、ドラゴンボールの未来のトランクス対人造人間の世界とか(笑) 娯楽作品としては、最後は人間に勝たせないとドラマが成り立たないだけだけど。あ、でも「2001年宇宙の旅」のHALは別格かな。
Yahooインタビュー解説(3) GoogleとYahooの本質的な違い

http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001282.html

個人的におもしろいなーと思っているのは、集合知 (wisdom of crowds) を最高のアルゴリズムと考えているGoogleなのに、自社の企業統治については、不特定多数の株主よりも、特定の幹部にのみ強いパワーを与えているということ。これについても、梅田さんの解説が詳しい。
GoogleのIPO申請、そのやり方に異議あり

http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001187.html

→この後に続く数エントリーもぜひ併せて参照するとよいと思います。
さらにつっこむと(笑)、いっさい人為的な手を加えてはならないはずのPagerankにしたって、Googleドメインに関しては明らかに高いスコアになっているという事実もある。
Google Update JaggerのPageRank10サイト一覧

http://www.hyperposition.com/se3blog/google/pagerank/20051021171200.html

なんだろうなー、どうしてだろうなー。
書籍の中で取り上げられていた集合知の代表である、WikipediaやLinuxについても、完璧な集団の知の集まりのみで出来ているわけではなく、その中心には、知をオーガナイズする少数の人々が介在しているのだし。アルゴリズム・オンリーでの完全体はやはり難しいのだろうか。もし存在するなら、見てみたいのだけどな(本気で。)
最後に。Web1.0から抜けきれない代表として挙げられていたYahoo! JAPANだけど、あえて反論させてもらうなら、それこそロングテールの集積という意味で、しかもかなりの利益率でビジネスとしても成り立っているYahoo!オークションの存在にもちょっとは触れて欲しかったな。まあ、そこに含まれている悪質な情報を、現状のような特定少数のパトロール要員によってではなく、不特定多数のユーザーの力によって浄化できて、はじめて認めてもらえるのかもしれないけど、ね。
あと、Yahoo!デベロッパーネットワークの存在も。

2 comments to ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

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