これも一種のアハ!体験だろう

図書館で借りた本だが、これは改めて購入して手元に置いておこうと思った一冊。

「脳」整理法
「脳」整理法 茂木 健一郎

筑摩書房 2005-09-05
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著者は「アハ!体験」で有名な茂木健一郎氏。図書館で手に取ったときは全く気がつかず、むしろ「超」整理法をもじったタイトルに惹かれたという理由だけで借りてきてしまった。
この本には重要なキーワードがたくさんでてくる。たとえば、「生活知」と「世界知」

脳の中の整理を通して獲得されていく知は、最初は私たちの生にぴったりと寄り添った「生活知」として立ち現れます。
今日では、世界についての知の大きな部分を、私たちが一人称の生を生きるということからとりあえずは切り離された「世界知」が占めています。

地球は丸いとか、酸素を吸って二酸化炭素を吐いているとか、そういうものは過去に科学によって証明され、他の誰かに教わって盲目的に信じている知識、つまり世界知。そうではない、旅行して見聞きしたり、おいしいレストランに行ったり、本を読んで考えたりして、自分の脳で感じ取ってなにかを学び取るのが生活知。
この違いを知って以来、無性に「生活知」を増やしたくて仕方ない。
また、「偶有性」という言葉もとても大事。

私たちの人生は、統計的な平均をとってしまえば消えてしまうような、多様なニュアンスに満ちています。一生に一回しか起こらないような出来事が、個々の人生に決定的な痕跡を残すこともあります。学びの機械はいつどこで訪れるかわかりません。このような人生の「一回性」の大切さは、統計的な真理を扱う科学的方法論では、いまのところとらえ切れていないのです。
日常の行為を繰り返す中で、偶然出会う体験の中に隠れている体験の中に隠れている偶有性を私たちの脳が整理する中で、思わぬ発見がある。その発見が「私」を変えていき、ときには自分自身の人生を変える劇的な変化をもたらす。そのような、人生における絶えざる学習のプロセスの中に埋め込まれているのが、セレンディピティなのです。

偶然は誰にも訪れる。ただ、その偶然の出来事の重要性をきちんと脳で理解できるかどうかが、運をつかむか逃すかの大きなターニングポイントとなりそうだ。たとえばノーベル賞を受賞した田中耕一氏や小柴昌俊氏も、偶有性からの発見を的確にキャッチしたからこその偉業だろう。
最も重要と思われるキーワード「クオリア」については、残念ながら深い理解ができず。これは他の本を読むなどしてぜひいつか理解したい。
というわけで、たくさんの「アハ!」を体験できた一冊でした。

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