「白夜行」を楽しむなら、原作→原作→テレビの順がオススメ

つい先ほど、東野圭吾著の「白夜行」の文庫本の2回目の読書が終わりました。解説で馳星周氏がこう語っています。

 読み終えて本を閉じる。余韻にひたる暇もなく、強烈な嫉妬に襲われる。再び、初めの一ページ目から本を開く。
 こんな経験は滅多にあるものではない。

まさにその通り! 物語は、ある男のストーリーとある女のストーリーが、交互に描写される形で、お互いから伸びたいくつもの伏線が、最後の最後(文庫本にしてはボリューム感のある約850ページの長編で、その最後のわずか数十ページ)で美しくかつ悲しくつながる、そんな感じのお話です。
ただ、不幸なことに、僕は原作を読む前に、テレビドラマの第一話を見てしまっていたのでした。ドラマではなんと、その最後の数十ページの場面が、第一話になっているのです。原作では、男と女が同じ場所にいるのは最後のシーンのわずか一度きりなのですが、テレビドラマでは最初からずっと一緒。べたべたべったり。なんというか、原作ではあえて描かれていなかった部分を故意に表に出して、時間軸に沿って映像化したようなものなので、原作のあの最後の数十ページの重みが、まったくなくなってしまっているのですね、残念ながら。
まだドラマを見たことがないという方、ぜひ、うっかりドラマを目にしてしまう前に、原作を読んでみてください。それも、一度読んだだけじゃもの足りず、必ず二度読みたくなりますから。それで、どうしても見たいのなら、テレビドラマを見ればいいと思います。
なお、物語が進むのは、オイルショックのあった1970年代半ばあたりから、バブルがはじけそうな1990年代半ばあたりの時代です。インベーダーゲーム、PC-8001やPC-8801、ファミコンの海賊版ソフト、銀行の偽造カードなど、あの時代の雰囲気を知っている人なら、よりいっそう楽しめるかと思います。

白夜行
4087474399 東野 圭吾

集英社 2002-05
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おすすめ平均star
star決して判りえない人間の心の闇の部分、
star凄いですね。
star圧倒的なボリュームの小説

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